LORIS GREAUD ロリス・グロー
Illusion is a Revolutionary Weapon:"幻想は革命的兵器だ”

“Illusion is a Revolutionary Weapon:幻想は革命的兵器だ”で、Loris Greaudは、実現不可能な複合装置を発動する。中心のない、同時多発的展覧会である。各プロジェクトは広大に連鎖し、大陸各地に拡がり、時間を破壊する。“Illusion is a Revolutionary Weapon:幻想は革命的兵器だ”の実態は、プロジェクト同士が結びつくことで次第に明らかになるものであり、ロンドン、ロサンゼルス、ミラノ、ニューヨーク、東京、ウ゛ィルニアスの各地で起こる個々の展覧会それぞれで定義されるものではない。

都会のストリート、建設現場、遊び場、公園やギャラリーで、作品は始まる。そこから知覚を拡張し、あるいは阻止していく。電話線、ラジオ電波、テレビ電波、おしまいには、うわさや風説を通して、このプロジェクトにまつわる情報の数々は、交錯し、まとまり、否定し合い、経験をぼかしていく。

このプロジェクト、そしてそのタイトルは、マス・コミュニケーションと大衆的混乱のもつ陰謀的な素質について述べた、ウィリアム・バロウズのエッセイ『Electronic Revolutiotn:電子革命』に由来し、情報伝達のもつ虚偽的性質に基づいている。カット・アップの手法や、録音された情報の多重再生は、「知ること」の快適性を脅かす。

“Illusion is a Revolutionary Weapon:幻想は革命的兵器だ”は連鎖し合い、量子力学的に絡まり合い、空間的、物理的に離れているにもかかわらず、別々に存在する個々の形態が、互いを参照し合えるようにする。個々は、互いに影響を及ぼし合いながら、一つの連関システムの中に存在するのだ。また、Greaudは、このネットワークを始動させるのが、できる限り観客自身であるように操る。このプロジェクトのすべてを実際に見ることは不可能であるため、この幻想プロジェクトでは、観客の体験の中から、数々の事柄が抜け落ちる。だが、この達成不可能な完全な体験こそが、このプロジェクトを定義するのである。いっさい鑑賞されることがない状態をこそ、このプロジェクトの純粋な形式ととらえることもできる。ひとたび光が当たればプロジェクトの可能性が消失してしまう、古典的なコンセプチュアル作品として。

東京では、item idemとassistantとともに、Greaudは建築物解体の監督になる。Gordon Matta-Clarkの初期のカッティング手法スタイルで、建築解体業者が構造物を破壊する。しかし、撮影スタッフが記録するのみで非公開であった、私的なMatta-Clarkの手法に対し、Greaudのプロジェクトでは、観客が居合わせ参加する。手荷物は入り口で検査され、あらゆる撮影および録音は禁止される。この芝居がかったイベントは、逸話となり、その場に居合わせた者の体験として残り、おそらく、のちに海賊版イメージが山ほど出来上がるだろう。

重なり合った音?理解できない肉声、そこからはまるで外国語のようにまったく新しい意味が発生する、それがミラノでの、Greaudの本プロジェクトのスタートポイントだ。Greaudは、初期のSteve Reichのテープ作品”It’s Gonna Rain”の音を、重複するラジオのシグナルに変え、10あるギャラリーの窓から部屋に入ってくる、または出て行く光をコントロールする。電動ブラインドの動きは、止まったり、遅れたりと、Reichの作品をまね、音や意味の狂いが、光と暗闇をコントロールしながら、混沌へと変化していく。

ニューヨークは、このillusionプロジェクトにおいて、電話交換手のような役割を果たす。ギャラリーの留守番電話はGreaudが占領し、Karl Holmqvist共にサウンドプロジェクトとして情報を拡散させる。extended ext-17プロジェクトで多重録音されたものは、どこであろうと聞くことができ、2ヶ月間の世界中で行われるillusionプロジェクトの期間中、継続的に世界中からも録音される。The non-lieu of the extentionプロジェクトはillusionプロジェクトの全体的な形式をまねたものであり、どこにも中心はなく、ただ録音だけが存在し、定義できない空間に巻き込まれていくのだ。バロウズによれば、複数の肉声によって作られた音源は、混乱を誘発するため、何度も再生されることになる。情報、報道、理論、謎、ノイズ、うそがILLUSION IS A REVOLUTIONARY WEAPONのまわりに群がることになる。

私の役割はとても難しく、プロジェクトを説明するのは筆舌に尽くしがたい。一方、あなたの挑戦はとても明白で、うわさを聞き、あなた自身でうわさを広め、あなた自身の理論を作り、うわさを固めていくことだ。ただ、心に留めておいてほしいのは、このことで、無限へは接近しづらくなるということ。空間、時間、速度で物質の価値が決まる。動いているものにより多くの光を当てようとすると、それはさらに速く動いてあなたから逃げていくのだ。

- Gabrielle Giattino